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小学校のプログラミング教育とは?必須化の目的、学習内容を実践例付きで解説

小学校のプログラミング教育とは?必須化の目的、学習内容を実践例付きで解説

 

 

「プログラミング教育って、結局どんなことをするの?」そんな不安を感じていませんか?

 

・「小学校でプログラミング教育がはじまったらしいけれど、何のために?」

・「うちの子はちゃんとついていけるの?」

・「子どもが『もっと学びたい』と言い出したけど、親として何をすればいいの?」

 

こんな疑問や不安をお持ちではないでしょうか。

 

2020年から小学校で必修化されたプログラミング教育。実際にどのような授業が行われているのか、どんな力が身につくのか、保護者の方にとっては見えづらいのが実情です。特に、入学したばかりの子どもを持つご家庭や、パソコンに興味を持ちはじめた中学年〜高学年の子どもをお持ちのご家庭では、「もっと学びたい」という子どもの気持ちをどう伸ばしてあげればいいのか、悩む場面も多いかもしれません。

 

さらに、何となく「将来役に立ちそう」と思っていても、親世代にとってプログラミングは馴染みのない世界。知らないままでは、せっかくの好奇心や学びの芽を摘んでしまうことにもなりかねません。

 

そこで、本記事では、以下の内容をわかりやすく紹介します。

  • 小学校のプログラミング教育の目的と背景
  • 「新学習指導要領」に基づく授業内容とそのねらい
  • 実際に行われている授業の事例(どの学年で、どんな学びをしているのか)
  • 子どもの興味を引き出し、学びをサポートするために、保護者ができることとは?
  • 学校以外でプログラミング学習できる方法
  • 子どものモチベーションを保ちながら、継続して学ぶための工夫

この記事を読み終えた頃には、小学校のプログラミング教育の中身が理解できて、「何をすればいいのかわからない...」という漠然とした不安が、「今のうちからこんなサポートができそう!」という前向きな行動へと変わっているはずです。「よくわからないから学校に任せっきり」ではなく一緒に応援できるように、子どもの「もっと学びたい」という気持ちを受け止めて、興味や意欲を無理なく育てていける準備を、今すぐはじめてみましょう!

 

目次

1. 小学校のプログラム教育とは?

 1-1. なぜ小学校から導入されるの?その目的とねらい

 1-2. 小学校のプログラミング教育の特徴

 1-3. 小学校から勉強することのメリット

 1-4. 実際のプログラミング教育における時数(コマ数)は?

 

2. 文部科学省の「新学習指導要領」とは?

 

3. 小学校でのプログラミング教育の必修化はいつから?

 

4. どんな授業の形態?教材は?小学校で学ぶプログラミング教育の内容

 4-1. 小学校の年間指導計画

 4-2. 低学年(1〜2年生)の授業の特徴と教材

 4-3. 中学年(3〜4年生)の授業の特徴と教材

 4-4. 高学年(5〜6年生)の授業の特徴と教材

 4-5. 公立校と私立校での違いはある?

 

5. 小学校で学ぶプログラミング教育の実践事例【学年別】

 5-1. 低学年(1〜2年生)の実践事例

 5-2. 中学年(3〜4年生)の実践事例

 5-3. 高学年(5〜6年生)の実践事例

 

6.小学生におすすめのプログラミング学習方法(学校以外での学習方法)

 6-1. プログラミングおもちゃ

 6-2. プログラミングを学べるテキスト教材・ドリル

 6-3. プログラミングゲーム・アプリ

 6-4. プログラミングを学べるサイト

 6-5. プログラミングスクール

 6-6. プログラミング大会・コンテスト・検定

 

7. 小学生のプログラミング学習をサポートするためのポイント

 7-1. 親として準備するものは?

 7-2. プログラミングへの興味を持ってもらうためにすること

 7-3. おすすめのサポート方法・引き出し例

 7-4. 時間管理や安全管理

 

8. 【参考情報】小学生のプログラミング学習に適したパソコンと選び方のポイント

 

9. 【参考情報】プログラミング教育の現状と今後の課題とは?

 9-1. 小学校のプログラミングに関する教科と学習時間

 9-2. 教員の指導スキルや負担が課題に

 

10. まとめ

 

 

1. 小学校のプログラム教育とは?

 

小学校における「プログラミング教育」とは、子どもたちにプログラムを作る体験を通して、論理的に考える力(=プログラミング的思考)を育む教育のことです。ここでいう「プログラミング的思考」とは、思ったとおりにものごとを動かすには、どんな順番でどう指示すればいいか?を考える力のことです。プログラミングのやり方を覚えるのが目的ではなく、自分で問題を見つけて、どうすればうまく解決できるか「考える力」を育てることが大切になります。

 

参考情報

プログラミング的思考に関して詳しくは以下の記事で解説していますのでご参照ください。

 

プログラミング的思考とは?5つの種類や論理的思考との違い、身につけ方を解説

 

 

「令和4年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査」によると、小学5・6年生の「算数」「理科」といった授業の中で行われることが多いですが、学校や自治体によっては、1〜4年生などの低学年・中学年から段階的に取り組んでいる例もあります。

 

関連記事

以下の記事ではプログラミング教育とはなんなのか、なぜ重要なのか、また教育の目的や必要性、どんなスキルが身につくのか、学校別の授業事例など、さまざまな視点から深掘り解説をしています。ぜひご覧ください。

 

プログラミング教育とは?必須化の狙い、小学校・中学校の授業内容、実践例を解説

 

 

1-1. なぜ小学校から導入されるの?その目的とねらい

 

プログラミング教育は、これからの社会を生きる子どもたちにとって必要な力を、早い段階から身につけてほしいという考えから、導入がされました。

 

今の社会は、さまざまなシーンでITやコンピューターの技術が活用されています。こうした社会の変化をふまえて、文部科学省が、すべての子どもたちが将来の社会を主体的に生き抜く力を育むことを目指して小学校でのプログラミング教育の導入を進めています。小学生のうちからその基礎に触れておくことで、「プログラミングが得意かどうか」にかかわらず、将来の進路や職業の選択肢を広げることができるのです。

 

 

小学校におけるプログラミング教育のねらいは、「小学校学習指導要領解 説 総則編」においても述べていますが、非常に大まかに言えば、①「プロ グラミング的思考」を育むこと、②プログラムの働きやよさ、情報社会がコ ンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くことがで きるようにするとともに、コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解 決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと、③各教科 等の内容を指導する中で実施する場合には、各教科等での学びをより確実な ものとすることの三つと言うことができます。

 

引用:文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」11ページより

 

 

 

簡単にまとめると、主な目的は次の3つになります。

 

 

(1)「プログラミング的思考」を育てるため

 

文部科学省は、プログラミング教育のねらいとして「プログラミング的思考」を育てることを挙げています。先ほども説明したように、「どうすればうまくいくか?」を考えて、順序立てて考える力のことで、将来どんな仕事に就くとしても、問題を解決する力として役に立ちます。

 

 

(2)「情報を正しく使う力」を身につけるため

 

プログラミング教育を通して、コンピューターやインターネットの仕組みを知って、正しく使う力が自然と身につきます。これを「情報活用能力」と言います。情報モラル(SNSの使い方や個人情報の守り方など)についての理解も深まります。今後のデジタル社会では、こうした力がますます大切になると考えられています。

 

 

(3)他の教科の学びを深めるため

 

プログラミング教育は、算数や理科、総合学習などの授業の中に取り入れられています。たとえば、算数で「正確な順序で計算する」ことや、理科で「センサーを使って温度を測る」などの場面で活用されています。こうした活動を通じて、子どもたちはより深く、楽しく他の教科の内容も理解できるようになります。

 

 

このように、小学校におけるプログラミング教育は、「将来のために技術を教える」というよりも、「考える力」や「社会で生きていく力」を育てるための教育的な意味合いが強いです。

 

 

1-2. 小学校のプログラミング教育の特徴

 

小学校のプログラミング教育でおさえておきたい特徴としては、プログラミング言語を習得することが目的ではないこと、そして、「プログラミング」という教科が新しく増えたわけではないということ、また、授業では必ずパソコンを使うとは限らないという3つがあります。

 

 

(1)プログラミング言語を習得することが目的ではない

 

まず、小学校のプログラミング教育では、プログラミング言語を覚えてパソコンで入力してプログラムを作ると言ったことを目標としていません。重視されているのは「論理的に考える力」や「問題を解決する力」を育てることです。こうした力は、今後のお子さんの学び全体にもつながっていくもので、専門的な知識を無理に身につける必要はなく、保護者の方もそこまで心配する必要はありません。

 

 

(2)「プログラミング」という教科が増えたわけではない

 

「必修化」と聞くと、新しく「プログラミング」という教科ができたと誤解されがちですが、実際にはそうではありません。あくまで、今ある教科の中でプログラミング的思考を育てる活動や学習が組み込まれているのが現状です。特に、「算数」や「理科」といった論理的思考が求められる教科では、プログラミングの考え方(順序・繰り返し・条件分岐など)を使ってみんなで問題を解決していくといったケースが多いです。

 

 

(3)必ずパソコンを使うとは限らない

 

小学校でのプログラミング教育は、すべての授業でパソコンを使うわけではありません。

 

あくまでも、教科の学びの中で「考える力」を育てることが目的のため、紙と鉛筆を使った学習や、カードやロボットを活用したパソコンを使わない教材(アンプラグド教材)を取り入れた授業も多くあります。

 

 

この記事を書いた著者「沢本 舞(さわもと まい)」のワンポイント解説!
沢本舞
「プログラミング教育が必修化された」と聞くと、難しいプログラミング言語を覚えなければいけないのでは?と思われるかもしれませんが、小学校ではそこまで高度な内容は扱いません。本格的なプログラミング言語の学習は、中学校・高校以降で段階的にはじまりますので、安心してください。

 

 

1-3. 小学校から勉強することのメリット

 

小学校のうちからプログラミング教育を取り入れることのメリットは、パソコン操作ができるようになるだけではありません。物事を考える力や失敗を恐れずにトライアンドエラーを続けて自分で問題を解決していく姿勢など今後社会に出ても役立つスキルを身につけることができます。

 

 

(1)物ごとを順序立てて考える力が身につく

 

プログラミング教育では、物ごとを順序立てて考えるような授業や機会が多く、「どうすれば自分が思った通りに動くかな?」と論理的に考える力を自然と身につけることができます。このスキルは、国語や算数など他の教科の理解にもつながる、大切な『考える力』になります。

 

 

(2)失敗を恐れずに、工夫して進む姿勢が身につく

 

また、プログラミングでは、うまくいかないことやエラーが起きることもよくあります。そのたびに試行錯誤を繰り返して「どうすれば解決できるか?」を自分で考え、挑戦する力が育ちます。失敗を恐れずに、工夫して進む姿勢が身につくのも、プログラミングならではの良いところです。こうした力は、将来どんな分野に進んでもきっと役に立つ生きる力になります。

 

だからこそ、小学生のうちから少しずつ経験しておくことが、大きな意味を持ちます。

 

 

1-4. 実際のプログラミング教育における時数(コマ数)は?

 

小学生のプログラミング関連の授業時数(授業のコマ数)というのは定められておらず、各学校で時数を決めるようになっています。文部科学省の最近の調査によると、小学5年生が平均「5.8(4時間21分)」で小学6年生が平均「6.7(約5時間)」という結果が出ていました。詳しい結果は「9-1. 小学校のプログラミングに関する教科と学習時間 」にあります。

 

 

2. 文部科学省の「新学習指導要領」とは?

 

文部科学省の「新学習指導要領」とは、日本の学校教育のカリキュラム(授業計画)をまとめた基準のようなもので、全国の小学校で一定水準の教育が受けれるよう、教科別にどれくらいのレベルまで学習をさせるのか目標が決められています。

 

特に、2017年に発表された学習指導要領では、「プログラミング教育の導入」や「主体的・対話的で深い学びの推進」など、新たな方針が盛り込まれていました。「プログラミング教育」の必修化もこのときの改訂の一環としてはじまっています。

 

文部科学省の「新学習指導要領」

 

▶参考情報:文部科学省「新学習指導要領」はこちらからご覧ください(pdf)

 

 

3. 小学校でのプログラミング教育の必修化はいつから?

 

日本の小学校では、2020年からプログラミング教育が必修化されています。

 

先ほど紹介した文部科学省の「新学習指導要領の改訂」によって導入されたものです。

主に、教科の中にプログラミング的な学習活動を組み込むという形で進められています。

 

 

 

4. どんな授業の形態?教材は?小学校で学ぶプログラミング教育の内容

 

実際に、小学校で行われているプログラミング教育は、専用の教科があるわけではなく、算数や理科、総合学習などの中で行われる「教科横断型」「体験型」の授業がメインになります。

 

授業の形態と進め方として、子どもたちが実際に手を動かしながら体験するスタイルが多いです。タブレットを使った個別学習や、ロボットやセンサーなどを活用する学習、グループで話し合いながらプログラムをつくるなど仲間と協力した学びもあります。 なお、小学校では、本格的なコードを書くことはほとんどありません。

 

主に以下のような「ビジュアルプログラミング言語」を使った授業があります。

 

小学校で使うビジュアルプログラミング言語

 

 

【小学校で使うビジュアルプログラミング言語】

 

この記事を書いた著者「沢本 舞(さわもと まい)」のワンポイント解説!
沢本舞
ビジュアルプログラミング言語は中学年から無理なく無料で導入できる教材として有名で、文部科学省の『小学校プログラミング教育の手引(第三版)』の中でも、中学年段階からScratch(スクラッチ)などを使うことが可能であるとしています。本格的な活用は高学年からが多いですが、中学年でも「順序立てて考える活動」や「簡単な条件・繰り返し」などの導入には適しているとされており、実践事例もあります。

 

 

4-1. 小学校の年間指導計画

 

令和6年度版小学校教科書 年間指導計画・評価計画(案)」は、新学習指導要領にもとづいて年間の教科ごとの学びの流れや評価の視点をまとめた計画案です。最近は、プログラミング的思考を育むことを目的に、学年や単元に応じてプログラミング教材を取り入れる学習活動が設計されています。各学年、教科ごとの目標や教材を簡単にまとめてみました。

 

 

▶︎令和6年度版小学校教科書 年間指導計画・評価計画(案)内にあるプログラミング教材(一部抜粋)

 

学年

教科・単元

学習の目標

使う教材

1年生

算数

(8. 10より大きいかず)

20までの数の数え方、よみ方、表し方を理解する。

「めざせ!にんじん」(まなびリンク)

2年生

算数

(5. 100より大きい数)

3位数の表し方や大きさの比べ方、十や百を単位とした加減の計算を理解し、数のまとまりに着目して数を扱う力と、その活用意欲を育てる。

ターゲットの数をつくろう!(まなびリンク)

3年生

算数

(14.□を使った式と図)

加法や減法の場面にお いて、未知の数量を□として式に表し、□にあてはま る数を求めることができる。

※教材指定なし

(※プログラミング的思考含む活動あり)

4年生

算数

(16.立体)

直方体や立方体の形や性質を理解し、見取図や展開図で表して構成を考えたりしながら、図形の特徴や位置の表し方について数を使って表現する力を育てる。

「ゴールをめざそう!」(まなびリンク)

5年生

算数

(15.正多角形と円)

正多角形や円の性質を理解し、図形の構成や円周・直径の求め方を考える力を育てる。それらを生活や学習に生かそうとする態度を養う。

「正多角形を書こう」(まなびリンク)

6年生

算数

(6.データの見方)

データの収集・整理・分析・表現という流れをたどる中で、アルゴリズム的思考・条件判断・構造化の力を自然に身につける。

「表計算ソフトに挑戦」(まなびリンク)

理科

(9. 電気の利用)

電気の性質やはたらきを多面的に調べ、発電・蓄電・変換などの仕組みを理解し、実験を通じて考察・表現する力を育てる。

micro:bit 

scratch

 

※一部の学年でプログラミング教材の表記が見つからなかったのですが、プログラミング的思考を育てる活動が含まれていたため、その旨を記載しています。

 

 

4-2. 低学年(1〜2年生)の授業の特徴と教材


低学年(1〜2年生)では、主に算数の学習と関連づけてプログラミング的思考の基礎にふれる授業が行われています。年齢的にキーボード入力や文字操作に不慣れなため、タブレットやブロック方のビジュアルプログラミング教材を使った直感的な操作を通して、楽しみながら学習を進めていきます。

 

特に以下のような力の育成に重点が置かれます。

  • 数や操作を視覚的に捉える力(例:足し算・引き算など)
  • ものごとを順序立てて考える力(プログラミング的思考)
  • 指示通りに動かす力(論理的な手順の理解)

 

 

4-3. 中学年(3〜4年生)の授業の特徴と教材

 

中学年(3〜4年生)では、指示ブロックを動かして学ぶ「ビジュアルプログラミングツール」を活用して「プログラムを使って思い通りに動かす」経験を積む学習をするケースが多いです。

 

特に以下のような力の育成に重点が置かれます。

  • 順番に命令を出すとどう動くかを考える力
  • 条件(もし〜なら〜する)によって動きを変える
  • 繰り返しや変数の基本などもう少し論理的な思考の学習へステップアップ

 

 

4-4. 高学年(5〜6年生)の授業の特徴と教材

 

高学年(5〜6年生)では、各教科と連動して、本格的にプログラミング的思考を育む授業が行われます。「Scratch(スクラッチ)」などのビジュアルプログラミング言語や、「micro:bit(マイクロビット)」などの実機教材を使って、実際に「ものを動かす・光らせる」といった体験的な課題が取り入れられています。この段階の子どもたちは、課題を自分で設定し、プログラムを組み立て、試行錯誤を繰り返しながら問題を解決するという「探究的な学び」が中心となります。論理的思考力だけでなく、創造力や表現力、振り返りの力も育まれていきます。

 

 

以上が、小学校で学ぶプログラミング教育の内容の紹介でした。

 

 

4-5. 公立校と私立校での違いはある?

公立・私立を問わず、全国の小学校で学習指導要領の内容に沿って、プログラミング関連の授業が行われています。そのため、「学ぶ機会」自体に大きな差はありません。ただ、教育内容の深さや学習環境の整備状況は、学校によってちがいが見られます。

 

 

(1)私立学校の場合

授業のカリキュラムや予算が比較的自由に組めることから、ロボットやツールを使った先進的な授業が行われているケースが多い。

 

 

(2)公立学校の場合

「GIGAスクール構想」によって1人1台タブレット機器などが用意されており、自治体によっては地域ぐるみでプログラミング教育に力を入れている例もあります。

 

この記事を書いた著者「沢本 舞(さわもと まい)」のワンポイント解説!
沢本舞
実際に兄弟で公立と私立の学校に通わせているご家庭に聞いてみたところ、公立学校ではプログラミング関連の授業が少ないようです。一方で、私立学校では積極的にツールやソフトを使った学習があるようで、公立と私立で学習差があると聞きました。それぞれの学校の方針や環境に応じた特色ある取り組みが進められているようですが、どちらかというと私立学校の方がプログラミング学習に触れる機会が多そうです。

 

 

5. 小学校で学ぶプログラミング教育の実践事例【学年別】

 

小学校でのプログラミング教育は1年生から学年に応じて段階的に「考える力」を育てるよう工夫がされています。ここでは、実際に小学校で使われている実践内容を紹介します。

 

 

5-1. 低学年(1〜2年生)の実践事例

小学低学年でのプログラミング教育は、主に「算数」の授業と関連づけながら、「順序立てて考える力」や「指示に従って動作を組み立てる力」を身につける学習が多いです。タブレットやカード教材などを使い、楽しく視覚的にプログラミングの考え方に触れることができます。

 

 

(1)小学1年生の実践例

小学1年生では、「進む」「戻る」などの基本操作を組み合わせて順番に命令を出すことで目的地にたどり着く課題を通して、直感的にプログラミングの考え方を学んでいきます。

 

<めざせ!にんじん(まなびリンク)>

めざせ!にんじん

 

出典:まなびリンク「プログラミングにちょうせん「めざせ! にんじん」」

  • 「すすむ」「もどる」のカードを組み合わせて、うさぎが10のところまで進むプログラムを考える。
  • また、ゴールの数を変えた場合のプログラムも考える小学1年生向け教材。

 

 

<おもいどおりにうごかしてみよう(学校図書株式会社)>

おもいどおりにうごかしてみよう

 

出典:学校図書株式会社「おもいどおりにうごかしてみよう

  • めいれいカードを組み合わせてゴールを目指す課題。
  • 思った通りに動かす楽しさと「順番に命令を出すとどうなるか」と考える力を育てる小学1年生向けの教材。

 

 

(2)小学2年生の実践例

小学2年生になると、少し大きな数の操作や順序の学習が取り入れられ、数字のまとまりを意識しながら動作を構成する力を育てる課題が増えます。

 

<ターゲットの数をつくろう!(まなびリンク)>

ターゲットの数をつくろう!

 

出典:まなびリンク「ターゲットの数をつくろう!

  • ロボットを動かして1、10、100の星を集めて、設定した数をつくる小学2年生向け教材。
  • ターゲットの数は自分で設定を変えれるため自分でプログラムを考えることができる。

 

 

<『ひとふでがき』のほうほうを考えよう(学校図書株式会社)>

『ひとふでがき』のほうほうを考えよう

 

出典:学校図書株式会社『ひとふでがき』のほうほうを考えよう

  • 「どの順番で通ると一筆書きになるか?」という問題を通して、試行錯誤する力や順序立てて考える力を学ぶ
  • 主に、小学2年生向け教材
     

 

 

5-2. 中学年(3〜4年生)の実践事例

 

3〜4年生になると、単なる命令の組み合わせだけでなく、複数の動きや条件を組み合わせた命令を「どうすればより効率的にできるか?」という視点で考える学習もはじまります。指示を最小限にする工夫や、図形・位置などの学習と結びつけた課題を通して、より論理的な思考力を身につけます。

 

 

(1)小学3年生の実践例

小学3年生では、「どうすればうまくゴールできるか?」を考えながら、できるだけ少ない命令でうごかす工夫をする課題がでてきます。やり方をいろいろ試しながら、順番や組み合わせを考える力が自然と育っていく内容になっています。

 

 

<少ない指じで思い通りに動かしてみよう(学校図書株式会社)>

少ない指じで思い通りに動かしてみよう

 

出典:学校図書株式会社「少ない指じで思い通りに動かしてみよう

  • めいれいカードを組み合わせて「できるだけ少ないカードで命令通りに目的地にたどりつかせるにはどうしたらよいか?」を考える課題。
  • 無駄のない命令の組み立てを通して、最適な手順を考える力を養う。

 

 

(2)小学4年生の実践例

小学4年生では、図形や重さなどの理科的・算数的な要素と結びつけて「条件による変化」を意識してプログラムを作成するような授業が中心になります。

 

 

<ゴールをめざそう!(まなびリンク)>

ゴールをめざそう!

 

出典:まなびリンク「ゴールをめざそう!

  • カードを使って、車が進む数や向きを指示し、点アを通って点イの位置まで車を走らせる。
  • また、点の位置を変えた場合のプログラムを考える課題で、小学4年生向けの教材。

 

 

<どうしたら重さのちがうものをさすことができるかな(学校図書株式会社)>

どうしたら重さのちがうものをさすことができるかな

 

出典:学校図書株式会社「どうしたら重さのちがうものをさすことができるかな

  • 天びんの仕組みをもとに、「条件を変えると結果がどう変わるか」を試行錯誤する課題。
  • プログラムによって条件や動きを変化させる思考力を身につけることができる小学4年生向けの教材。

 

 

5-3. 高学年(5〜6年生)の実践事例

高学年になると、「Scratch(スクラッチ)」や「micro:bit(マイクロビット)」といったツールを使って、角度の計算や電気の制御など、より高度な論理構造や条件判断を用いた課題に取り組みます。自分で課題を見つけ、試行錯誤を繰り返す「探究的な学び」が中心になります。

 

 

(1)小学5年生の実践例

5年生では、算数の「図形の学習」と連動して、角度や繰り返し処理を取り入れた課題に取り組みます。図形の性質を応用して、効率的な命令の組み立てを考えることで、論理的思考や手順を最適化する力を身につけます。

 

 

<正多角形を書こう(まなびリンク)>

正多角形を書こう

 

出典:まなびリンク「正多角形を書こう

  • 指示ブロックを使って、正三角形・正六角形などの図形を描く課題。
  • 「角度の計算」「繰り返し処理」など、算数の学習内容を活かしながらプログラムを構築する体験ができる小学5年生向けの教材。

 

 

<正多角形を書こう(学校図書株式会)>

正多角形を書こう(学校図書株式会)

 

出典:学校図書株式会「正多角形を書こう

  • 先ほどのまなびリンクの課題と同じく、正多角形の性質(辺の長さが同じ、角度が決まっているなど)を応用した課題。
  • ロボットを指示ブロックを組み合わせて動かして図形を描いていく課題。

 

 

(2)小学6年生の実践例

6年生になると、より複雑なルールや条件を組み合わせた課題にも取り組みます。電気の性質を扱う理科の単元や、順序・再帰的思考を要する課題などを通して、「論理的に捉える力」を育てます。

 

 

<『ハノイのとう』のリングの移し方を考えよう(学校図書株式会)>

『ハノイのとう』のリングの移し方を考えよう

 

出典:学校図書株式会「『ハノイのとう』のリングの移し方を考えよう

  • 「ルールに従って、リングをひとつずつ正しい順番でうつしていく」課題です。
  • どんな順番で動かせばうまくいくかを考えながら、くり返し試したり考え直したりする力を育てます。

 

 

<LEDを点滅させるプログラミング(学校図書株式会社)>

LEDを点滅させるプログラミング(学校図書株式会社)

 

出典:学校図書株式会社「LEDを点滅させるプログラミング

  • 「scratch(スクラッチ)」を参考に作られたビジュアルプログラミングソフト「GProS(ジプロス)」を使った課題。
  • LEDを一定の間隔で点滅させるプログラムを作ります。回路の仕組みや電気の性質を理解しながら、センサーや出力装置の基本的な制御方法も学べます。

 

 

<micro:bit(マイクロビット)やscratch(スクラッチ)を使った学習(理科)>

6年生の理科の教材として、以下のようなプログラム課題が用意されています。

  • プログラムを作成して、コンピュータに命令を出してみよう
  • 歩行者用信号機のプログラム
  • 歩行者用信号機のプログラム(音が鳴る)

 

課題を通して条件分岐や繰り返し処理、センサーとの連動など、制御構造の理解につながります。

 

 

 

この記事を書いた著者「沢本 舞(さわもと まい)」のワンポイント解説!
沢本舞

文部科学省が教員向けに公開しているプログラミング教育の実践動画が公開されています。実際にどんな勉強を行っているのかイメージもしやすいのでぜひ参考にして見てください。

 

・参考動画:20221201【小】プログラミング教育授業実践研修会 2.実践

 

 

 

6. 小学生におすすめのプログラミング学習方法(学校以外での学習方法)

 

最近は、自宅やオンラインを活用して、学校の授業以外でもプログラミングにふれる機会が増えています。特に小学生の場合は、年齢や経験に応じて「楽しく学ぶ」ことが大切で、興味関心を育てることが今後の学習にも良い影響を与えます。年齢別におすすめの学習方法としては以下があります。

 

▶︎参考:学校以外でもできるプログラミング学習方法

 

年齢

学習方法

初心者や小学低学年向け

パソコンを使わず「プログラミング的思考」を育てる教材・おもちゃ

中学年〜高学年向け

Scratch(スクラッチ)などのビジュアルプログラミングやゲーム・アプリを通じた学習

より深く学びたい子向け

プログラミングスクールやコンテストへの参加など実践の場へ行く

 

それぞれおすすめの学習法を紹介します。

 

 

6-1. プログラミングおもちゃ

 

プログラミング学習のはじめの一歩としておすすめなのが、遊びながら「順番」「条件」「繰り返し」などの論理的思考力を育てられる「プログラミングおもちゃ」です。

 

視覚的・感覚的に理解できる仕組みが多く、パソコンを使い慣れていない小学低学年の子どもでも楽しく取り組むことができます。遊びを通して自然に論理的思考にふれられるので、「プログラミングって面白い!」というポジティブな印象を持ちやすいのも特長です。

 

プログラミングおもちゃの例

  • 木製おもちゃ(手を動かしながら遊べる)
  • カードゲーム
  • ロボットやスマホアプリを使って論理的思考力を身につけるおもちゃ
  • おもちゃパソコン

 

 

6-2. プログラミングを学べるテキスト教材・ドリル

 

テキスト型の教材やドリル形式で学ぶ方法もおすすめです。

 

プログラミングおもちゃと同じく、パソコンがなくても学べるタイプ(アンプラグドという)ですが、より「学習」よりの方法です。特に読解力やワークブックに慣れている子にとっては、親しみやすくスムーズに学習に入れます。

 

 

6-3. プログラミングゲーム・アプリ

 

遊びの延長で学びにつなげやすいのが、「プログラミングゲーム」や「アプリ」です。

 

学習要素が自然に組み込まれており、ゲーム感覚で夢中になりながらプログラミングの考え方を身につけることができます。ステージをクリアしたり、キャラクターを動かしたり、ストーリーを進めたりと、ワクワクする仕掛けがたくさんあるので、「楽しいから続けたくなる」「クリアしたいから考える」など、学習モチベーションも長続きしやすいのが特長です。

 

特に、以下のような小学生におすすめです。

  • ゲームが好きな小学生
  • タブレットやスマホの操作に慣れている小学生

 

 

関連記事

以下の記事では、プログラミングゲームやアプリなど詳しく紹介しています。

プログラミングおもちゃ人気おすすめ!年代別や選び方をご紹介

 

 

6-4.プログラミングを学べるサイト

 

パソコンでインターネットにつながる環境があれば、自宅で手軽にはじめられる「オンライン学習サイト」も人気です。

 

無料で使えるものから月額制の本格的な教材まで、さまざまなあり、動画教材や演習問題・ゲーム感覚で学べるステージ学習など充実しているのが特徴です。また、自分のペースで進められるので、無理なく学習を続けやすいのもおすすめのポイントです。サイトによっては学習の進み具合を確認できる機能など、学習状況を把握しやすい機能が用意されているのもあります。

 

特にこのような小学生にぴったりです。

  • タブレットやパソコンを使って自分ひとりで操作できる(小学中学年以降)
  • 自分のペースでじっくり取り組むタイプ
  • ゲーム型や動画学習などのデジタル教材に慣れている

 

 

6-5.プログラミングスクール

 

より体系的にプログラミングを学びたいお子さんには、プロの講師から直接教えてもらえる「スクール形式」で勉強する方法もおすすめです。

 

プログラミングスクールでは、小学生限定のスクールや、個別指導や少人数制、オンライン対応など、さまざまな形式のスクールがあります。

 

特に以下のような小学生におすすめです。

  • もっと本格的にプログラミングを学びたい
  • 一人では学びづらい(周りで知っている人がいないけど勉強はしたい)
  • モチベーションを続けさせたい

なお、初心者向けのコースでは、「プログラミングおもちゃ」や「Scratch(スクラッチ)」を活用した簡単な体験学習からスタートできるのではじめての小学生でも楽しめます。

 

 

 

6-6.プログラミング大会・コンテスト・検定

 

「目標を持って学びたい」「自分の力試しをしたい」といった小学生には、プログラミングの大会や検定に挑戦してみることもおすすめです。

 

こうした場では、作品の完成度や課題解決力が評価されるので、明確な目標を持って学習に取り組みやすくなります。特に、大会やコンテストには、個人戦だけでなくチーム戦も多くあり、仲間と協力して取り組む経験ができます。使用する言語やツールのルールもさまざまですが、小学生向けにはScratch(スクラッチ)などのビジュアルプログラミングを使った形式が多いので、初めてでも参加しやすいです。

 

また、公式の検定ではある程度求められるレベルがはっきりしているので、学習目標が立てやすくておすすめです。

 

特に以下のような小学生にぴったりです。

  • 目標に向かってがんばるのが好きなタイプ
  • 他の子と切磋琢磨できるタイプ
  • 達成感や自分の成長をしっかり感じたいタイプ

 

 

このように、プログラミングの学習方法は小学生の子どもの年齢や学習レベル、興味関心に応じて選ぶことができます。興味や得意な学習スタイルにあわせて、子どもにぴったりの学び方を見つけてあげてください。

 

 

7. 小学生のプログラミング学習をサポートするためのポイント

 

小学生の子どもがプログラミング学習を続けさせるには、ずばり「無理なく・楽しく・安心して学習にチャレンジできる環境作りを用意してあげることにつきます。

 

環境を整えるうえで、保護者の方ができるお家での学習サポート方法を紹介します。

 

 

7-1. 親として準備するものは?

 

自宅でプログラミング学習に取り組むために、パソコンや教材の用意だけでなく、学習に集中できる「環境づくり」や「親の姿勢」というのも大切な準備になります。

 

というのも、ただパソコンを渡すだけでは、十分な学習にならない場合があるからです。子どもが自然と「学びやすい」「続けたくなる」と感じられる空間や仕組みを用意してあげましょう。

 

無理なくはじめられる範囲で、以下のような準備をしてみてください。

  • パソコンやタブレットの準備(スペックはなるべくいいものでキーボード付きが理想)
  • インターネット環境の整備(回線速度も重要)
  • 教える際には子どものそばで「見守る」姿勢で
  • できたことに対して「褒めてあげる」

 

この記事を書いた著者「沢本 舞(さわもと まい)」のワンポイント解説!
沢本舞
パソコンやタブレットの使い方や操作がわからない保護者の方は、まずはお子さんが授業で習ったことの復習や予習を一緒にやってあげるところからはじめてみてもいいと思います。

 

 

7-2. プログラミングへの興味を持ってもらうためにすること

 

プログラミング学習のサポートをする上で、子どもが主体的になって「もっと学びたい」と思う気持ちを持たせることは不可欠です。興味や意欲がないとなかなか上達はできません。

 

モチベーションを生み出すためにも、まずは「プログラミング学習への興味を引き出す工夫」と、「目標を作って達成感ややりがいを感じられるように導くこと」が大切です。「何のために学ぶのか」が明確になって、自信や充実感にもつながります。

 

以下のような工夫や目標を作ってあげてみてください。

  • 「なぜプログラミングをやりたいのか」「どんなことができるようになりたいか」を一緒に考えてあげる
  • 子どもの好きなこと(ゲーム・アニメ・おもちゃなど)と結びつけた学習や取り組みをする
  • 学習の成果を目に見えるようにする(作品を家族に見せたり、学習の進捗を壁に貼ってみる

 

この記事を書いた著者「沢本 舞(さわもと まい)」のワンポイント解説!
沢本舞
文部科学省のGIGAスクール構想でも、「子どもが主体的にICTを活用し、自己表現すること」が重要視されていますが、お家学習でも応用できます。子どもの「自己決定(自分で)」を尊重した設計が意欲を引き出す要素になるとされています。

 

 

7-3. おすすめのサポート方法・引き出し例

 

子どもがプログラミングを「やってみたい!」と意欲を見せた時に、適切な教材や機会を用意できるかどうかが、学習の深まりを大きく左右します。言いかえれば、「保護者の引き出し」が多ければ多いほど、子どもがプログラミングに触れるチャンスも増えるのです。

 

例えば、こんな「引き出し」があります。

  • 小学生の子どもの年齢や興味に合わせてプログラミングツールを選ぶ
  • 子どもの興味を刺激するプログラミング教材や書籍を選ぶ
  • お家で自由研究や作品づくりをする
     (例:週末に家族で「作品発表会」を開く、自分だけのゲーム展示会を開くなど)
  • オンライン教室・体験イベントに参加する (例:無料体験や短期講座など)
  • 地域の図書館や公民館のプログラミングイベントに参加する

 

 

7-4. 時間管理や安全管理

 

自宅でのプログラミング学習は、学校とはちがって自由度はありますが、反対にだらだらとやりすぎたり、安全面(インターネット接続を使う際には特に)での問題があると思います。そのため、「勉強と休憩のバランスを取る(時間の管理)」と「安全に学べる環境づくり」の両方を意識することも大切です。

 

(1)時間管理の例

  • 1日の学習スケジュールを一緒に決める(例:親子の間で「今日はここまで!」を明確に)
  • 休憩時間は必ず入れる
  • ゴールを作って計画的に学ぶ習慣をつける(例:「完成まであと3日」など)

 

(2)安心して学習できる環境づくりの例

  • パソコンのキッズフィルタリングやペアレンタルコントロールを入れる
  • インターネットの「使用履歴の確認」や「時間制限」などの機能を活用する

 

 

このように、保護者の方の工夫次第で子どもの自律的に学習を進めていく力を身につけることにつながります。

 

 

8.【参考情報】小学生のプログラミング学習に適したパソコンと選び方のポイント

 


この記事では「小学生のプログラミング教育」をテーマに解説しましたが、プログラミング学習で欠かせない「パソコンの選び方」についても紹介します。小学生には、「安全に使えること」「操作がシンプルでしやすい」「小学生に適した画面サイズやキーボードサイズ」といった基準で選ぶといいでしょう。

 

また、将来を見越してスペックはやや高めのものを選ぶという観点も大切です。今後中学・高校生になるにつれて、より本格的なプログラミング学習をする機会が増える可能性があるので、長く快適に使える機種を選んでおくことが、子どもの継続的な学習にもつながります。

 

 

9.【参考情報】小学校のプログラミング教育の現状と今後の課題とは?

 

プログラミング教育が小学校で必修化されてから数年がたち、全国の学校でさまざまな取り組みが行われています。ただ、授業内容や学習環境には地域差があり、現場の先生や保護者の間でも、「実際にどのように実施されているのか」「本当に子どもたちの学びにつながっているのか」といった疑問や課題も浮かび上がっています。

 

参考までに、小学校のプログラミング教育の実態や、今後の課題について、文部科学省の調査や関連機関の報告をもとに紹介します。

 

 

9-1. 小学校のプログラミングに関する教科と学習時間

 

小学校のプログラミング教育は、専用の教科があるわけではなく、「算数」「理科」「総合」といった授業の中で、必要に応じてプログラミング的な活動を行う形になっています。そのため、年間の総授業時数に対して、約0.5〜0.6%(約4〜5時間)しか実施されておらず、量的にはまだ非常に限られています。

 

 

(1)プログラミング教育を実施している授業

主に、「算数」「総合」「理科」の授業の中で取り入れているケースが多いようです。

 

 

国語

社会

算数

理科

音楽

図画工作

家庭

体育

外国語

総合

ぞの他

5年生

5.0%

6.5%

75.8%

24.7%

6.2%

4.5%

6.3% 

2.1% 

3.2%

41.5%

4.2%

6年生

5.0%

3.2%

53.6%

74.2%

7.0%

3.7%

7.8%

2.2%

1.6%

41.0%

3.7%

 

出典:文部科学省「令和4年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査調査結果」

 

 

(2)実際に年間でプログラミング教育にあてている時数

実際に小学5・6年生が年間でどれくらいプログラミング教育に時間を充てているのか時数を紹介します。

 

 

【小学5年生の場合】

小学5年生では、1年間の授業時数「1078.3(約808時間43分)」のうち、プログラミング教育に当てる時数は「5.8(約4時間21分)」と全体の「約0.54%」ほどになります。

 

◼︎プログラミングの授業時数:平均値5.8(約4時間21分)

 

プログラミングの授業時数

0

1〜3

4〜6

7〜9

10〜

小学校の割合

4.8%

35.4%

33.4%

8.7%

17.7%

 

出典:文部科学省「令和4年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査調査結果」

 

 

◼︎年間総授業時数:平均値1078.3(約808時間43分)

 

小学5年生の年間総授業時数

~1015

1016~1050

1051〜1085

1086〜1120

1121〜1155

1156〜

小学校の割合

14.8%

19.3%

28.8%

15.9%

10.8%

10.4%

 

出典:文部科学省「令和4年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査調査結果」

 

 

【小学6年生の場合】

小学6年生は、1年間の授業時数「1069.6(802時間12分)」のうち、プログラミング教育に当てる時数は「6.7(約5時間)」と全体の「約0.63%」ほどになります。

 

◼︎プログラミングの授業時数:平均値6.7(約5時間)

 

プログラミングの授業時数

0

1〜3

4〜6

7〜9

10〜

小学校の割合

1.5%

23.8%

42.0%

11.1%

21.5%

 

出典:文部科学省「令和4年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査調査結果」

 

 

◼︎年間総授業時数:平均値1069.6(約802時間12分)

 

小学5年生の年間総授業時数

~1015

1016~1050

1051〜1085

1086〜1120

1121〜1155

1156〜

小学校の割合

15.6%

28.5%

25.0%

14.1%

9.0%

7.7%

 

出典:文部科学省「令和4年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査調査結果」

 

 

参考情報

この段落内で紹介している参考情報の出典元「令和4年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査調査結果」は、以下をご覧ください。

 

文部科学省「令和4年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査調査結果」(pdf)

 

 

9-2. 教員の指導スキルや負担が課題に

 

教育現場では、先生の指導スキルや教材整備の体制にばらつきの課題もあります。

 

NPO法人みんなのコードが2021年に実施した「プログラミング教育実態調査」によると、学校現場の教員からは以下のような声が多く上がりました。

  • 指導や授業展開が難しい
  • 教員の専門性が不足している(スキル不足)
  • 教材・資材が不足している

また、またプログラミング教育がはじまってすぐにLINEみらい財団が実施した「学校現場におけるプログラミング教育に関する意識調査(2020年)」では、教員の約73%が不安を感じていると回答があるなど、当初から課題があったことがわかります。現在は少しずつ環境の整備が進んでいますが、自治体や学校ごとでその進み具合には差があり、学習内容や授業の内容に偏りが見られるケースもあります。

 

 

10. まとめ

 

今回は、小学校のプログラミング教育について目的や実際の授業内容、そして保護者の方でもできるお家での学習サポート方法など幅広く紹介しました。

 

「プログラミング教育」と聞くと、「難しそう」「専門的な言語を覚えるの?」といった印象や新しい教科をイメージするかもしれません。ですが、実際は「プログラミング的思考」と呼ばれる『考える力』や『工夫する力』を育むためのものであり、子どもたちの進路や就職など、将来にわたって役立つ、土台づくりのような学びです。また、「プログラミング」という新しい教科ができたわけではなく、算数や理科などの今ある教科と組み合わせながら行われること、さらにはパソコンを使わずに考える力を身につける活動があることなど、保護者の方にとって新しい発見もあったのではないでしょうか?

 

何より一番大切なのは、子どもが「やってみたい」「もっと知りたい」と思ったときに、その背中を押してあげられる大人がそばにいることです。すべてを親が教え込む必要はありませんが、学習環境を整えたり、教材を用意したり、「応援してるよ」という姿勢を見せることは、子どもにとって大きな安心と力になります。

 

記事内で紹介したサポート方法なども参考に、少しでも「自分にもできそう」「まずはここからはじめてみよう」と感じていただけたなら幸いです。子どもと一緒に楽しみながら、プログラミング学習の第一歩を踏み出してみましょう!

 

この記事の監修者

沢本舞(さわもとまい)

メディアライター兼「ぱそメモkids」運営者

エンタメ会社で広報を経験し、現在は株式会社セナネットワークスでメディアライター兼広報として勤務。同社では2021年にNintendo Switch初のタイピングゲーム「タイピングクエスト」を開発・発売。プログラミング・システム開発を事業とする企業として、プログラミング教育の更なる普及への貢献の思いでオウンドメディア運営をスタート。

監修者のご紹介: 「信頼されるサイトとしての取り組み」 をご覧下さい。

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